外房線 (JR東日本・千葉支社) ガイド・ファンサイト

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廃線・廃止になった鉄路
工業都市"茂原"と三井東圧化学専用線のすべて (19)
配線略図でみる、三井東圧化学専用線の変遷

前章「三井東圧化学千葉工業所 (茂原工場) の黎明期から縮小期まで (1)」および「三井東圧化学千葉工業所 (茂原工場) の黎明期から縮小期まで (2)」、そして「三井東圧化学専用線で行われた、鉄道貨物輸送の歴史」では、三井東圧化学専用線 (旧称は、東洋高圧工業専用線) を所有していた、三井東圧化学千葉工業所 (旧称は東洋東圧工業千葉工業所、現在の三井化学茂原分工場) について解説しました。

1961年 (昭和36年) 東洋高圧工業 (株) 千葉工業所 (正門付近)
<AI Colorized> (画像出典:硫酸
中央の2連の塔は尿素工場の尿素造粒塔、シンボル的存在だった


本章では、三井東圧化学専用線の変遷について簡単に紹介いたします。最初に専用線所管駅となった外房線の茂原駅が高架化されたことで、専用線所管駅は茂原駅の隣駅となる新茂原駅に移管されました。この時に、本納駅と新茂原駅の間に新たに「新茂原駅貨物施設」が設置され、通称「新茂原貨物駅」と呼ばれています。

三井東圧化学専用線 (東洋高圧工業専用線) 経路図

三井東圧化学専用線 (旧称は、東洋高圧工業専用線) は、茂原駅から三井化学茂原分工場 (旧称:三井東圧化学千葉工業所) への旧ルートと、新茂原貨物駅 (新茂原駅貨物施設) からの新ルートの2つの経路が存在していました。

1981年 (昭和56年) 6月 三井東圧化学専用線 配線略図

三井東圧化学専用線の旧線ルートについては、後章「三井東圧化学専用線 (茂原駅〜三井東圧化学千葉工業所間) [旧ルート]」、新線ルートについては、後章「現役時代と廃線後の三井東圧化学専用線 (新線ルート) (1)」と「現役時代と廃線後の三井東圧化学専用線 (新線ルート) (2)」で紹介しています。

(注記) インターネット上では、「新茂原貨物駅」や「三井東圧化学茂原工場」などの通称が使われることがあります。当サイトでも、検索などの利便性を考慮して、「茂原工場」といった通称を使用している場合があります。


旧ルート: 茂原駅 〜 三井東圧化学千葉工業所 (茂原工場)
1960〜70年代頃の国鉄茂原駅 (現在の南口)
<AI Colorized> (画像出典:ふるさと茂原のあゆみ)

地上駅時代の国鉄茂原駅の側線には、三井東圧化学専用線 (旧称は、東洋高圧工業専用線) が設けられる前から、既に2つの専用線が接続されていました。当サイト内で紹介している「関東天然瓦斯開発専用線 (300m)」と「野口産業専用線 (100m)」が存在しました。

1974年 (昭和49年) 三井東圧化学専用線 配線略図

地上駅時代の茂原駅については、次章「貨物駅としての外房線「茂原駅」の歩み」と後章「専用線所管駅「茂原駅」と三井東圧化学専用線について」で、詳しく解説しています。


新ルート: 新茂原貨物駅 (新茂原駅貨物施設) 〜 三井東圧化学千葉工業所 (茂原工場)
JR外房線 新茂原駅
(2000.11 筆者撮影)

茂原駅の高架化に伴い、専用線の管轄駅が茂原駅から新茂原駅に移管されました。新茂原駅は1面2線のホームを持ち、「小荷物貨物」のみを取り扱っていましたが、新たに「車扱い」のための貨物施設が必要となりました。そのため、新茂原駅から本納駅までの間に新たに「新茂原貨物駅」として知られる「新茂原駅貨物施設」が設置され、三井東圧化学専用線の移設工事が行われました。

1981年 (昭和56年) 三井東圧化学専用線 配線略図

1983年 (昭和58年) 開業後もない新茂原貨物駅 (新茂原駅貨物施設) 全景
国土地理院「茂原」(昭58)

新茂原貨物駅 (新茂原駅貨物施設) については、後章「三井東圧化学専用線所管駅「新茂原貨物駅」(新茂原駅貨物施設) の歩み」と「新茂原貨物駅 (新茂原駅貨物施設) の駅施設・荷役設備の紹介」で詳しく解説しています。

1999年 (平成11年) 12月 廃駅直後の新茂原貨物駅 (新茂原駅貨物施設) 全景
(公道より、筆者撮影)

(※: 車扱い (しゃあつかい) とは正式には「旅客貨物車扱営業」と呼ばれ、国鉄が保有する1車単位で借りる貨車や私有貨車を使用して、各貨物駅間で貨物輸送を行う形態を指します)

三井東圧化学専用線の廃止
三井東圧化学専用線での貨物輸送量の減少に伴い、新茂原貨物駅 (新茂原駅貨物施設) の貨物取り扱い量も減少し、1995年 (平成7年) 10月1日のJR貨物のダイヤ改正により、新茂原貨物駅発着の定期貨物列車が運休し、臨時列車化されました。さらに、1996年 (平成8年) 3月16日のダイヤ改正によって貨物列車が廃止され、これに伴い三井東圧化学専用線も廃止されました。

1995年 (平成7年) 三井東圧化学専用線 配線略図

新茂原貨物駅 (新茂原駅貨物施設) に関しては、1999年 (平成11年) 4月1日をもって廃止されました。

2016年 (平成28年) 11月 廃止となった新茂原貨物駅 (新茂原駅貨物施設) 全景
(国土地理院「茂原」(平28))
貨物駅西側の国道128号線沿いにはベイシア (スーパー)、ベイシア電器などの大型商業施設が出店している


次章「貨物駅としての外房線「茂原駅」の歩み」では、茂原駅が貨物駅として歴史を築いてきた経緯に焦点を当てます。明治時代から昭和初期にかけての茂原駅の発展や、1960・70年代の活発な貨物輸送について詳しく解説いたします。

また、ミニコーナー「三井東圧化学専用線での通運を担った、南総通運株式会社」では、茂原駅などで鉄道貨物輸送を担ってた南総通運 (株) について取り上げます。また、「茂原駅が高架駅となった経緯と駅前再開発」では、茂原駅が高架化された経緯について、「よみがえる昭和の茂原駅、立ち食いそば店とキヨスクの記録」では、現在は姿を消した立ち食いそば店「SLそば」と小型売店「キヨスク」について紹介しております。

(公開日:2024.01.21/更新日:2024.04.24)

貨物駅としての外房線「茂原駅」の歩み
三井東圧化学専用線で行われた、鉄道貨物輸送の歴史 

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