■Nゲージ ミニジオラマの作製のきっかけ 「マイクロエース」がNゲージで国鉄制式形式の蒸気機関車をすべてリリースしたことで、古典電機や電気機関車とともに、機関車のコレクションが数百両に増えてしまいました。最初は、ダイソーなどの100円ショップで売られているケースに入れて飾ってみましたが、やや寂しい印象でした。一般に市販されている「コレクションケース」もありますが、価格が少々高めです。 そのような状況の中、書店で見つけたのが成美堂出版の「鉄道模型NゲージBOOK - Nゲージをとことん楽しむ! 2002年版」でした。 そこに掲載されていた「鉄道模型 (Nゲージ) ミニジオラマ展示台」を見て、私でも工作初心者である自分でも製作できるかな、と思い、購入しました。
Nゲージ用のジオラマを作ろうと思った理由は、そのジオラマがケースに収められているため、ホコリやチリから守ることができる点です。このケースのサイズは「240mm×130mm×110mm」です。 このジオラマは、市販されているタミヤ (田宮模型) の展示用ケース(ディスプレイケースC)を使用し、KATO (カトー) のストレートレール (S248) が加工なしで使用できるというのもポイントでした。
■Nゲージ「地方ローカル線の機関車駐泊所」作製のポイント 大まかな製作方法や手順については、本誌をご購入の上、ご確認ください。このジオラマを製作することで、Nゲージのジオラマやレイアウト作りに必要な基本テクニックである「ストラクチャー (建物) のウェザリング (汚し)」と「地面作り」を習得できます。このセクションでは、本誌にはあまり詳しく紹介されていない部分を補足し、紹介します。 ストラクチャー (建物) のつや消し
プラスチック特有の光沢を消すため、建物全体に表面を仕上げるための「つや消しスプレー」(表面仕上げ用コート剤) を散布します。その際、私は一般的に「青缶」と呼ばれるGSIクレオスの水性トップコートを使用しました。 ストラクチャー (建物) の墨入れ タミヤのエナメル系塗料「フラットブラック」をエナメル用の溶剤で薄め、平筆につけて、キットのモールドに塗料を流し込むようにして、機関庫全体に墨入れを行いました。
ストラクチャー (建物) のドライブラシ 機関庫の側面の木材風の模様を強調するために、ドライブラシを行います。
「ドライブラシ」とは、少量の塗料を筆につけ、ティッシュで拭き取り、ほとんど塗料が付着していない状態の筆 (乾いた筆=ドライブラシ) で凹凸部分を擦り、陰影を強調させるための技法です。
ドライブラシに使用する塗料は、タミヤの「タミヤカラーアクリル」やGSIクレオスの「水性ホビーカラー」などの「水性アクリル系塗料」を使用します。なお、下地に「エナメル系塗料」を使っているため、「ラッカー系塗料」や「エナメル系塗料」を重ね塗りすると、墨入れした部分が溶けてムラになる恐れがありますので、ご注意ください。
なお、水性アクリル系塗料を使用する場合も、エナメル系塗料同様に水性アクリル系塗料専用の薄め液を使用します。
ドライブラシに適した筆は、塗料があまり乗らない毛先が短いものが好ましいです。また、新しい筆を使用する場合は、毛先を少しカットしてから指で揉んでやり、毛先をパサパサにすると作業がしやすくなります。また、クレオスからもトライブラシ用の筆が発売されていますので、そちらを使用するのも良いと思います。 また、ティッシュ以外では繊維のチリやケバが付着していない、当サイト「Nゲージを楽しむ編」の「Nゲージ用レールの掃除・メンテナンス」で紹介した「キムワイプ」がおすすめです。 パステルによる、ストラクチャー (建物) のウェザリング 蒸気機関車の黒煙による機関庫の汚れを再現するため、「パステル (学校で使ったチョークのような画材)」の粉を擦り、機関庫の屋根の排気管付近や出入口のすすの汚れを表現します。私は、ホームセンターの画材コーナーで購入したパステルを紙やすりで粉末状にし、それを筆に付けてぼかすように擦りつけました。
現在は、タミヤやGSIクレオスからパステルを粉末状にした製品が発売されているので、パステルを使ったウェザリングが手軽に行えると思います。
Nゲージのジオラマの地面作り 「地面作り」については本誌では具体的な詳細が記述されていなかったため、いろいろと試行錯誤しました。パウダーや灰置き場の表現に関しては、印刷物やウェブ上だけでは色や粒子の大きさに差異があるため、TOMIX (トミックス)、KATO (カトー)、モーリンなどから発売されているバラストは当時は自宅の近くにあった模型店へ行き、現物の色合いや粒子の大きさを確認した上で購入し、適宜に使用しました。
お近くに模型店がない場合は、私もよくお世話になっている通販型模型店「ホビーサーチ」(公式サイト) がおすすめです。
また、100円ショップで茶こしや、パウダーやバラストを固定する際に便利な水に希釈した木工ボンドを散布するためのスポイトなど、様々なアイテムが役立ちます。 今回、渡り板の黄色いラインには、画材店で販売しているフリーテープ (1mm) を使用しました。駅のホームの白いラインにも使えるのでおすすめです。 材料費は約1万円程度で、作製には土・日を利用して1ヶ月ほどかかりましたが、このNゲージ「地方ローカル線の機関車駐泊所」ジオラマを作製することで、私のような工作初心者でも基本的なテクニックを学ぶことができ、今後大型機関区を作製する際に非常に役立つ経験となりました。
■Nゲージ「地方ローカル線の機関車駐泊所」作製にために購入した主な購入品
■完成品のNゲージ用展示台について 今回はNゲージの蒸気機関車用のミニジオラマを作製しましたが、近代の電気機関車やディーゼル機関車、電車区のジオラマに興味があり、製作する時間がない方や完成品が欲しいという方には、楽天市場の「コレクターズショップ サザン」(受注生産品)や、「長野県南箕輪村」(ふるさと納税返礼品)で市販品が販売されています。
また、鉄道模型専門誌「RMモデルズ」の車両撮影用ジオラマ提供や、「タモリ倶楽部」でお馴染みの「さかつう楽天市場店」(楽天市場店は閉店し、公式サイトのみ) でも販売されています。
■Nゲージ用展示台のケースについて Nゲージ車両の展示用ケースは、前述のタミヤの他にウェーブも販売していますので、作りたいミニジオラマに合わせて購入するのも良いと思います。 このウェーブのケースは、TOMIX (トミックス) の「ファイントラック ストレートレール S140 (F)」と「ファイントラック ストレートレール S99 (F)」の組み合わせに対応しています。
■Nゲージのジオラマ・レイアウト用のストラクチャーのご紹介 今回は、「鉄道模型NゲージBOOK - Nゲージをとことん楽しむ! 2002年版」で紹介されている展示用ケースやストラクチャーをそのまま用意しましたが、各メーカーからはミニジオラマに最適なストラクチャーが数多く販売されているので、ご紹介します。 鉄道模型Nゲージの「TOMIX」(トミックス) ブランドを展開しているトミーテックは、「建物コレクション」として塗装済みの完成品を多数発売し、シリーズ化しています。
この「建物コレクション」は、「ジオラマコレクション」(ジオコレ) シリーズの一部であり、他にも「情景コレクション」や「乗り物コレクション」など、Nゲージのジオラマやレイアウトに活用できるアイテムが豊富に揃っています。 詳しいジオラマコレクションのラインナップについては、上記の公式ホームページをご覧いただくか、ネコ・パブリッシングから出版されている「ジオラマコレクション完全マニュアル」をご参照ください。この書籍では、シリーズの紹介や作品例が詳しく解説されています。なお、最新巻は「Vol.5」まで発売されています。(2024年2月現在)
Nゲージのミニジオラマ用の各種ストラクチャーは、トミーテックからは完成品、グリーンマックスからはキットが数多く発売されています。しかし、これらのアイテムは常に在庫されているわけではなく、再生産までに時間がかかる場合があります。そのため、私は今後のジオラマやレイアウト製作のためにいくつかのアイテムをストックしています。
また、「さんけい」ではプラスチック以外の素材を使ったNゲージサイズの組み立て式ストラクチャーキットも販売されており、「みにちゅあーとキット」の「なつかしのジオラマシリーズ (1/150)」が多数ラインナップされています。
詳しい「みにちゅあーとキット」のラインナップや販売に関しては、「さんけい楽天市場店」(みにちゅあーとショップ) をご覧ください。なお、「なつかしのジオラマシリーズ」は以下のようなペーパークラフト形式となっています。
ペーパークラフトの組立には、当サイト「Nゲージを楽しむ編」で紹介している「「Nゲージ」専用の模型用工具があると便利です」で紹介している、以下の模型専用のアートナイフや精密ピンセット、クラフトボンドなどがあると、きれいに組み立てられると思います。
次章「蒸気機関車の大型機関区の考察・プラン選定」では、Nゲージ用の蒸気機関車の大型機関区ジオラマを作製する際の考察 (シーナリー・イメージ) やプラン立案、機関区・電車区等の参考資料などの紹介しています。 |